【本】 山本富造 『イヤなことは一切しない! 「一人一億」稼ぐ会社の鉄則』


イヤなことは一切しない!  「一人一億」稼ぐ会社の鉄則イヤなことは一切しない! 「一人一億」稼ぐ会社の鉄則
(2012/11/16)
山本 富造

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Amazonのおすすめに出てきたのでまんまと買って読みました。
章立ては以下の通り。

/*

序章:「一人一億」稼ぐ戦術
 「一人一億」って簡単に言うけどさ……/
 「弱いもんは弱い」と認めよう/
 されど、世襲四代の知恵

第1章:「一人一億」稼ぐ戦いかた
 「こんな目にあうのは、もう二度とごめんや! 」から生まれる戦術/
 「ここぞ」という時は銭勘定をしない/
 弱者の正しい戦いかたを覚える/
 文句を言わせない結果を残す/
 挑発に乗らない/
 「汚い世界」でも泳げるようになる/
 「ズルはいつでもできる」と思っておく

第2章:「一人一億」稼ぐ考えかた
 「プロ」ではなくて「アホ」になる/
 目に見える「アホ」を目指す/
 人材はアホ4:プロ3で配分する/
 超オーバースペックを目指す/
 ニーズは無視する/
 「ガキの発想」を殺さない/
 カギは「なーんだ」にある/
 「戦わずに勝つ」方法を考え抜く/
 商売しながら社会に恩返しする/
 「ニセモノ・ウェルカム」で行く/
 特許名はバカ正直に書かない/
 正攻法でビジネスをギャンブルにしない

第3章:「一人一億」稼ぐ生きかた
 地縁と血縁を大事にする/
 「新しいもん」をはじめてみる/
 ぎりぎりまで頭は下げない/
 握手だけで売れる市場へ出る/
 一〇〇億の努力にひるまない/
 土俵にのぼっていることを忘れない/
 おカネに困ってなくても、バイトはする/
 家訓は代々一つだけ/
 社訓はホコリを被ってるくらいがちょうどいい/
 二番煎じは死んでもやらない

第4章:「一人一億」稼ぐ学びかた
 ピンチはタイミングを選ばない/
 損得勘定なしで行ってみる/
 帝王学では、時代の荒波は超えられない/
 「自転車操業のほうが、よっぽど健全」と心得る/
 丁稚奉公は慎重にさせる/
 「社長心得」は一〇年やる/
 付加価値をつけるなら「ドーン」ではなく「ドドーン」とつける/
 「捨てる発想」は捨てる/
 付加価値は「古いもの」のなかに眠っている/
 「アームズ・レングス」思考を身につける/
 「飛行機では1‐Aに乗れ! 」/
 激しい執念を持つ/
 スプーン曲げを信じる人間になる

第5章:「一人一億」稼ぐ育てかた
 開発担当者は置かない/
 仕事は兼務させる/
 「ヘンなやつ」にフレンドリーな社風を作る/
 「ヘンなやつ」は新卒で採る/
 口下手は徹底的に直す/
 現場の人間にトーク術を身につけさせる/
 「失敗」の定義を変える/
 顧客満足度三〇〇%を前提にする/
 値段も「ドドーン」とつけられる「価値」を生む/
 技術はとことん使い回す/
 思い立ったら、記者発表日を決める

第6章:「一人一億」稼ぐ話しかた
 セールスは「上」から攻める/
 「ついで」の精神を貫く/
 「ラテン系日本人」を生かす/
 「アンタ、英語わかってんの?」で場をなごませる/
 接待はしない/
 手みやげを欠かさない/
 お礼状はファックスで送る/
 「昨日の敵は今日の友」と信じる/
 ひらめきは「人間事」と思わない/
 浅く考える/
 「棚卸し」をすれば、「強み」は見つかる

終章:「一人一億」稼ぐホンネ
 「一人一億」に越したことはないけど……/
 今になってわかる「おやじの社訓」/
 「強者」がいない時代の戦術

*/


主題がやや漠然としているので、副題まで引用。
副題まで引用するとさすがに長いな・・・



「二番煎じは死んでもやらない」

と言い切っていますが、その言葉に続いてあった、

「よそが何をやっているかとか、よそが何を考えているかとか、そういうことは一切無視して」

という言葉に激しく共感しました。

勤務先の製品の納入先は入札案件が多く、他社、競合を意識せざるを得ません。
「競合が持っている機能だから・・・」といって搭載される機能もあるほど。
そんな機能に限って「これどう使うんだろう?」ということが少なくありません。
で、製品は次第に複雑になり、潜在的な問題を抱え込んでいく、と・・・

せっかくメーカーに勤めているんだから、
「二番煎じは死んでもやらない!」とか言ってみたいなぁ・・・



付加価値について、

「おやじの時も他のより値段を下げて勝負するようなまねは一度もしなかった。
それは僕の代になってからも変わらない」


とありましたが、最近本で読んだ未来工業やエーワン精密と共通するスタンス。
「いいものを適正価格で」というのは理想的なスタンスだと思います。


「よそにできないものでなければ付加価値とは呼べない」

と言っていますが、その「付加価値」について意外なのが、

「付加価値は新しいものからは生まれてこない。古いものから生まれてくる」

という言葉。
意外ではあるものの、激しく共感できる言葉です。

「いい時代も、きつい時代も、ずっと続けきた」という「古いもの」には、
他社には追いつけない会社の知恵が詰め込まれているわけで、
それを使って効率的に付加価値を追求していけばよいというわけです。

業種にもよるでしょうが、「新しいもの」に取り組むと失敗に終わる場合もあるわけで、
そういうロスが中小企業では致命傷になる可能性もあります。

この言葉は我が意を得たりというか、全く同感です。



会社の「強み」を見つけるにはどうしたらいいか、には、

「仕事を“棚卸し”していくこと」

と。これも同感です。これは一度社内でやってみたい。

勤務先は正社員20人弱の零細企業にも関わらず、縦割り横割りが異常に細かい。
一部署あたり1~3人という状態で、うち一人はパート社員、とか。
そんな感じで規模の割に部署が多いにも関わらず、どの部署にも部長はいない。
キャリアの最終ステップが課長、という何の面白みもない組織です。
ハッキリ言って、経営者の趣味が悪い(または意地が悪い)としか思えない。

そんな組織だと、他の人がどんな仕事をしているのか、
他の部署がどんな能力を持っているのか案外分からないものです。
どんな能力が会社にあるか分からないから、自信がなくなってくるわけです。

そこでこの「仕事の棚卸し」をやってみると、面白そうだなぁ。
「あ、そんなことできるんだ!」と、新しい企画が出てくるかも知れません。



その他、製品がウルトラマンのコスチュームに採用されていることや、
それがハリウッドの衣装、宇宙服、放射線遮蔽服の開発に繋がっていく話、
ナイキ、ボーイングのトップに直接セールスした話、
ロータリークラブをセールス活動に利用した話など、
面白い話がたくさんありました。


一つ残念なのが、僕の大嫌いな「同族企業」であること。
おそらくこの著者の息子が跡を継ぐのでしょう。
で、この著者はおそらくそのことに全く何の疑問を持っていないはず。

父親の代からいる社員との関係については全編通して触れられていませんが、
その部分がすごく気になりました。


それと、「(社員)一人一億」がキーワードになっていましたが、
その社員の待遇についても全く触れられていませんでした。

典型的な「ワンマン創業一家が社員を薄給でこき使う」企業なのでしょうか?
非上場企業ということもあって、そういう情報が見当たりませんでした。
転職会議ではややネガティブな評判もありましたが・・・)

というか、同族企業で社員満足度の高い会社ってあるんですかね・・・?


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【本】 藤野英人 『投資家が「お金」よりも大切にしていること』

投資家が「お金」よりも大切にしていること (星海社新書)投資家が「お金」よりも大切にしていること (星海社新書)
(2013/02/26)
藤野 英人

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会社近くの書店で並んでいるのを見て、パラッと立ち読みし購入。

章立ては以下の通り。

第1章 日本人は、お金が大好きで、ハゲタカで、不真面目
第2章 日本をダメにする「清貧の思想」
第3章 人は、ただ生きているだけで価値がある
第4章 世の中に「虚業」なんてひとつもない
第5章 あなたは、自分の人生をかけて社会に投資している、ひとりの「投資家」だ


もっと即効的な株式投資の本だと思ったら全く違いました。
それでも肩透かしといった感じは全くなく、非常に面白かったです。

「お金とは」「経済とは」「会社とは」など、初々しく見つめなおすきっかけになりました。


一例を取ると、

「赤ちゃんがいることによって成り立っている会社や産業がたくさんある」
「つまり、赤ちゃんが存在するだけで経済が動いている」

という言葉は子育て中の自分にとってハッとさせられるものでした。

赤ちゃんは稼げるわけではないけれど、だからといって経済の中で無意味ではないと。
これを展開すると、何もかもの見方が変わってくる気がします。


また、「経済」という言葉の語源に関しても言及があり、それは、

「世を経(おさ)め、民を済(すく)う」

という「経世済民」という言葉から来ているというものでした。

薀蓄的にそういう知識が述べられているわけではなく、
「economy」の語源(ギリシア語の「オイコノミクス=共同体のあり方」)から展開され、
自分の中に著書の考えがすんなりと入ってきました。


「お客さんにとっては、従業員の頑張りなんて、はっきり言ってどうでもいい」

というのも、ハッとさせられるものでした。
自分自身ソフト開発業務の中で、

「これだけやったんだからこれくらいの問題は・・・」

と、自分を甘やかしたことがないかと言われれば嘘になります。
要は「価値を提供できたか」。我が身を振り返るきっかけになりました。


「真面目な会社で、真面目に働く」

ということについても再三述べられており、
「真面目とは何か」「真面目な会社とは」という著者の考えは、
意外に自分と近いものだなと感じました。


「意外に」と感じたのは、実は一度だけ著者の方とある懇親会で同席したことがあり、
ホンの一言二言だけ言葉を交わしたことがあるからです。

それだけで人となりは分かるわけないのですが、
「あぁ、全く違う世界に住んでいる人だな」という印象だけが強く残りました。
そのせいか、「意外に」感じたわけです。
もちろんいい意味で「意外に人間クサい人なんだな」という感じというか。


あと、少しだけ同業の鎌倉投信についても言及があったのが興味深かったです。
そう言えば著者が講師をしていたセミナーで、

「コモンズ投信と鎌倉投信の運用チームはすごい」

みたいなことを言っていたなぁ、というのを思い出しました。


こういう本を読んで、「仕事とは」「会社とは」を考えるとすごく悩みます。

自分で選んできた道の結果だから100%自分の責任なのですが、
自分の仕事に意義や使命感を持っている人って、すごいなぁと感心ばかり。

今の仕事だって嫌いではないけれど、違和感だけが日々増していくばかりで、
誰にも相談できず、うやむやにしていくだけの生活になっています。

「あぁ、面倒臭い、もう何もかもリセットしたい」

と縁起でもない良からぬ考えがホンの一瞬頭をよぎることもあって、
これって結婚したり子どもができたりしても変わらないんだなぁというか、
むしろ積み上がる社会的な責任に連れて、頭をよぎる頻度が上がる始末。

家庭が円満で何一つ不満はなくても、それだけで満たされるものじゃないんだなと。
仕事って生活、人生の中ですごく重要なんだなと感じてるこの頃です。


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